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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
迅速な対応により良好な経過をたどったHELLP症候群の3症例
尾崎 理恵, 山田 美恵, 奥村 俊之, 笠原 華子, 早田 昌弘, 大友 美由起, 佐藤 隆之, 鈴木 正明
賛育会賛育会病院産婦人科
(緒言)HELLP症候群(以下HELLP)は溶血,肝酵素の上昇,血小板減少を呈する多臓器障害をきたす母体疾患であり,対応の遅れが胎児予後を悪化させるだけでなく,母体死亡の原因となる重篤な疾患である.今回当院にて,partial HELLPの診断でterminationとし,母児共に良好な経過をたどった3症例について発表する.
(症例1)29歳,初産.妊娠34週3日より妊娠高血圧症候群(以下PIH)発症.35週2日に血小板が12.3×104/μLと前日より約6×104/μLの低下を認めたためpartial HELLPの診断で緊急帝王切開術を行った.術後1日目に血小板1×104/μLまで低下しFFP20単位とPC20単位の輸血を行ったが,その後は徐々に改善し合併症なく母児共に退院した.
(症例2)39歳,初産.妊娠36週に急激な体重増加と著明な浮腫が出現し37週0日軽症PIHを発症,37週1日繰り返す嘔吐を認め,血液検査所見よりpartial HELLPの診断で緊急帝王切開を行った.術後に血小板5.6×104/μL,血清LDH2315 IU/LとHELLPの増悪認めFFPとPCの輸血を要したが,術後3日目に血液検査所見は改善し,母児共に退院した.
(症例3)38歳,初産.PIH兆候は認められなかった.妊娠34週3日に突然の上腹部痛が出現し,血液検査所見よりpartial HELLPの診断で緊急帝王切開行った.術後HELLPの診断基準3項目を満たす程の増悪を認めたが,血液検査所見は急激に改善し術後8日目退院した.
(結語)今回の3症例はいずれも34週以降の発症のためpartial HELLPの段階でterminationとし,母児共に良好な経過をたどることができた.突然発症した上腹部痛や嘔吐,急激に増悪したPIHを認めた際はHELLPを疑い,迅速に対応することが大切である.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
425-425, 2012
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