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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
妊娠時一過性甲状腺機能亢進症により強い妊娠悪阻症状を呈した2絨毛膜2羊膜性双胎の一例


石井 茉衣, 佐藤 玲南, 須郷 慶信, 額賀 沙季子, 合田 真由, 時長 亜弥, 大井 由佳, 鈴木 理絵, 武居 麻紀, 安藤 紀子, 茂田 博行
横浜市立市民病院産婦人科


 ヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下hCG)にはTSH受容体を刺激する作用があるため,hCG高値となりやすい妊娠初期では一過性の甲状腺機能亢進所見を呈することがあり,近年,妊娠時一過性甲状腺機能亢進症(Gestational transient hyperthyroidism,以下GTH)として注目されるようになった.今回我々は,2絨毛膜2羊膜性双胎でGTHにより強い妊娠悪阻症状を呈した一例を経験したので報告する.症例は32歳,0回経妊0回経産,自然妊娠.既往歴・家族歴に特記すべき事項なし.妊娠初期に頻回の嘔吐,体重減少,頻脈を認め近医受診.妊娠悪阻の診断で輸液による治療を受けたが症状が改善せず当院紹介受診となった.血液検査の結果,TSH低値,FreeT3高値,FreeT4高値,hCG高値,甲状腺に対する自己抗体は全て陰性でありGTHと診断した.妊娠悪阻の症状が強かったため妊娠14週から妊娠16週に無機ヨード内服加療を行ったところ,嘔気・頻脈ともに改善.その後TSH,Free T4,Free T3は正常範囲内となった.妊娠37週4日に選択的帝王切開術実施し,2児ともにAFD,Apg9点/1分にて出生,ともに外表奇形を認めなかった.妊娠悪阻症状の強い妊婦ではGTHを考慮する必要がある.また,GTHの多くは短期間に自然軽快するため治療を必要としないことが多いが,妊娠悪阻症状が強い場合には無機ヨードが治療の選択肢となり得ることが考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 431-431, 2012


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