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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
死産を繰り返した原発性アルドステロン症合併妊娠の一例
稲垣 知子1, 西田 直子1, 深見 武彦1, 野口 唯1, 糸井 博美1, 柿栖 睦実1, 山口 道子1, 立山 尚子1, 松島 隆1, 土居 大祐1, 南 史郎2, 朝倉 啓文1
日本医科大学産婦人科1, 日本医科大学内科2
【緒言】原発性アルドステロン症は高血圧症患者の5〜20%を占め,うち20〜40%が両側副腎過形成,60〜80%が副腎腫瘍を原因とする.過形性によるアルドステロン症合併妊娠の報告は少ない.今回両側副腎過形成による原発性アルドステロン症合併妊娠で死産を繰り返した一例を経験したので報告する.【症例】37歳 1経妊1経産,3年前妊娠19週より血圧高値となり,妊娠23週に死産となった.その後,高血圧精査目的に当院内科紹介受診.両側副腎からのアルドステロン過剰分泌が認められ,両側性副腎過形成による原発性アルドステロン症と診断された.手術適応はなく,外来で降圧薬を服用せずに血圧130/70mmHg前後と安定していたため妊娠許可された.クロミッド服用にて妊娠し,自宅血圧測定にて管理中,妊娠19週0日血圧150/90mmHg前後となり,妊娠20週0日妊婦健診時血圧190/90mmHgと高血圧であったため緊急入院となった.入院時,児推定体重(-1.2SD)および羊水量は正常範囲内であった.降圧薬としてα-メチルドパ,塩酸ヒドララジン使用するもコントロール不良でニフェジピン追加し,さらに原疾患コントロール目的でエプレレノン(抗アルドステロン剤)を追加した.その後血圧は140/80mmHgと安定した.しかし,入院時より児発育停滞が進行し(子宮内胎児発育遅延,不均衡型),羊水量の減少および臍帯動脈血流逆流が認められ,妊娠23週5日に子宮内胎児死亡となった.【考察】今回の症例では,血圧のコントロールに難渋し,子宮内胎児環境の悪化を改善できず死産の転機となった.原発性アルドステロン症合併妊娠に関して文献的考察を含め報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
431-431, 2012
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