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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
妊娠中に発症し,PSLによる加療が著効したリウマチ性多発筋痛症の1例
田吹 梢, 佐治 晴哉, 小林 奈津子, 堀田 裕一朗, 板井 俊幸, 佐々木 麻帆, 石寺 由美, 服部 信, 平吹 知雄, 白須 和裕
小田原市立病院産婦人科
【緒言】リウマチ性多発筋痛症(Polymyalgia rheumatica以下PMR)は,肩や上腕,大腿などの四肢近位筋の疼痛とこわばり,発熱,倦怠感などを呈する炎症性疾患であり,病因は現在のところ不明である.50歳以上で発症することが多く,妊娠中の発症は非常に稀である.今回我々は,妊娠中に発症し,PSLによる加療が著効したリウマチ性多発筋痛症の1例を経験したので報告する.【症例】24歳,0経妊0経産,自然妊娠.前医にて妊娠管理中,妊娠21週頃より四肢末梢に緊満感が出現したため,当院内科を受診したが,原因ははっきりしなかった.その後,大腿,上腕の筋痛,筋力低下が急速に進行し,23週頃からは独歩も困難となった.当院神経内科を受診し,当初は筋炎を疑われたが,CKの上昇は認めず,自己抗体も陰性であり否定された.血沈>100mm/1h,CRP高値,白血球上昇を認めたため,検査所見よりPMRと診断され,24週からPSL15mg/dayの内服加療が開始され,当院で妊娠管理することとなった.内服4日目より劇的に改善傾向を示し,独歩可能となった.2週間後にはほぼ症状は消失したため,10mg/dayへ減量し,同量で分娩まで維持可能であった.妊娠39週3日に前期破水後,分娩誘発し,39週4日に3088gの女児を経腟分娩した.児には特に異常を認めなかった.分娩後はPSLを漸減していき,分娩4カ月後には離脱したが,現在のところ再発は認めていない.【考察】PMRは妊孕性のある年代に発症することは稀であるが,早期加療によりPSLの著効が期待できるだけに,皮膚症状,筋力低下を伴わない近位筋優位の筋痛といった症状を呈した場合には,本疾患を鑑別疾患として念頭におき,早期診断につなげることが重要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
435-435, 2012
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