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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
飛び込み分娩後に巨赤芽球性貧血を発症した一例
栗本 ちえ子1, 西脇 哲二1, 山縣 麻衣1, 大見 健二1, 岩崎 秀昭1, 小野田 昌弘2
千葉市立青葉病院産婦人科1, 千葉市立青葉病院内科2
巨赤芽球性貧血はビタミンB12及び葉酸の欠乏によるDNA合成障害に起因する.妊娠後期から産褥期にかけてはビタミンB12,葉酸の吸収率の低下に加え,胎児の需要が増大するためビタミン欠乏が顕在化しやすい.今回我々は分娩後に巨赤芽球性貧血を発症した一例を経験したので報告する.症例は32歳.3経妊3経産.既往歴,家族歴に特記事項なし.2012年某日,39週0日の未受診妊婦が陣痛発来し救急要請,当院で飛び込み分娩となった.来院時子宮口開大7cmであり,分娩経過に異常はなく自然経腟分娩となった.女児2285g Aps8/9と低出生体重児であった.産褥経過は良好であり,産後4日で退院となった.産褥24日に食欲不振及び体重減少にて当院内科受診,汎血球減少及びLDH高値が認められた.骨髄穿刺・生検にて骨髄増殖性疾患は否定的であり,血中ビタミンB12,葉酸は著名な低値であった.巨赤芽球性貧血と診断し,ビタミンB12製剤,葉酸製剤の補充療法を開始し血球の回復及び臨床症状の改善を認めた.産褥期における貧血の要因として鉄欠乏性貧血が多数を占めるものの,巨赤芽球性貧血の症例も認められる.文献的考察を加えて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
438-438, 2012
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