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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
胎児MRIで脳室周囲白質軟化を認めたピルビン酸脱水素酵素複合体欠乏症の一例
野口 里枝, 小畠 真奈, 天神林 友梨, 安部 加奈子, 小倉 剛, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
【はじめに】
ピルビン酸脱水素酵素複合体欠乏症は,高乳酸血症を来す先天性代謝異常症であり,酵素の欠乏の程度により,その臨床像が異なる.また,一部の症例において,脳の構造異常を来すことが知られている.今回われわれは,胎児期のMRIにて脳室周囲白質軟化が疑われ,出生後に高乳酸血症を認めたピルビン酸脱水素酵素複合体欠乏症の症例を経験したので報告する.
【症例】
母親は36歳の4回経妊2回経産婦,既往歴として橋本病がある.自然妊娠し,妊娠35週4日に胎児発育不全のため近医より紹介初診となった.超音波検査にて胎児発育不全と両側脳室の拡大を認め,妊娠37週5日に胎児MRIを施行したところ,脳室周囲白質軟化が疑われた.妊娠38週1日,骨盤位のため,帝王切開分娩とした.出生児は1887gの男児でApgar scoreは2点(1分値),5点(5分値),8点(8分値)であった.出生時より高乳酸血症,高ピルビン酸血症および貧血を認めた.また,日齢3で施行された脳MR spectroscopyにて白質,脳室とともにN-acetylaspartateの低下と乳酸の上昇が認められ,ピルビン酸脱水素酵素複合体欠乏症が疑われた.
【まとめ】
胎児脳室拡大の原因として,頻度は少ないものの,先天性代謝疾患の鑑別診断が重要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
444-444, 2012
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