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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
羊水染色体がモザイク12トリソミーでありミラー症候群を伴った胎児異常の1例
尾堀 佐知子, 廣岡 潤子, 田中 理恵子, 神保 覚子, 榎本 紀美子, 三原 卓志, 石川 浩史
神奈川県立こども医療センター産婦人科
【症例】32歳,1回経産.自然妊娠後著変なく経過していたが,妊娠29週に胎児水腫,胎児心拡大,羊水過多を認め,妊娠30週に当科紹介,精査入院となった.胎児心臓は三尖弁欠損による逆流が著明でEbstein様であり,VSDと心筋の不整所見を伴っていた.入院後羊水過多症と胎児水腫が進行し,さらに母体の浮腫も急激に進行した.羊水穿刺し一部を説明と同意の上で染色体検査に提出,経過観察としていたが,母体のミラー症候群に伴う母体諸症状の増悪ため,妊娠30週6日に帝王切開術を施行した.児は2004g,女児,著明な胎児水腫のため積極的な蘇生処置が行えず,生後2時間で早期新生児死亡となった.剖検は希望されなかった.事後に羊水染色体検査の結果が46,XX/47,XX,+12であったことが判明したが,臍帯血の染色体検査の結果は46,XXであった.母体のミラー症候群は産後すみやかに改善した.【考察】Trisomy 12 mosaicismはこれまで30例程度の報告がある.その臨床像は多彩であり特定の特徴は見いだしにくいが,胎児期に心筋症様の所見を認めたとの症例報告があることから,心筋異常所見が特徴のひとつである可能性も考えられる.ただし臍帯血の染色体検査は異なっており,ミラー症候群の機序も含めて検討の余地がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
445-445, 2012
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