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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
先天性サイトメガロウイルス感染症の早期治療により先天性聴覚障害が改善したと思われる一例
大井 恵, 朝田 嘉一, 和田 麻美子, 渡辺 直子
山梨赤十字病院産婦人科
症例は在胎38週4日,2520gで出生した男児で,妊娠37週より側脳室左角の軽度拡大を認めたが正常範囲内であり経過観察されていた.出生直後より顔面,前胸部に点状出血があり,血液検査で血小板が5万/μlと減少しており,触診で肝脾腫,頭部CTで軽度脳室拡大を認めたため精査を施行し,先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症と診断された.生後3日目の新生児聴覚スクリーニング(自動ABR)では右pass/左referであった.両親にインフォーム・コンセントの上,生後7日目より治療を開始した.治療によってウイルス量の減少,血小板の回復がみられ,生後46日目には自動ABRで左passとなった.
CMVは胎内あるいは産道感染によって乳幼児に神経学的な後障害を残す疾患として知られており,原因不明とされる感音性難聴の10〜30%がCMVの先天性感染による可能性が指摘されている.一方新生児聴覚スクリーニング検査は広く多施設で施行されているが,referとなった症例に対しての原因精査はほとんど施行されていないのが現状である.CMV感染児の聴覚障害に関しては早期治療により予後を改善できる可能性が示唆されているため,新生児聴覚スクリーニング検査がreferとなる症例では,無症候性CMV感染を念頭に置き精査を行うことが重要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
448-448, 2012
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