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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
筋腫分娩合併妊婦において経過中尿閉となった一例
岩橋 秀樹, 笹 秀典, 吉田 昌史, 吉永 洋輔, 精 きぐな, 中西 篤史, 太枝 美帆, 青山 真, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科
子宮筋腫は,生殖年齢の女性のうち20〜25%の割合で発生することが知られており,その中でも粘膜下筋腫が子宮頸管に脱出する筋腫分娩は比較的少なく,さらに妊娠中の事象となるとその取り扱いに苦慮する.今回我々は,妊娠中に筋腫分娩を指摘され,経過中に尿閉となった症例を経験したので報告する.
症例は42歳,1経妊1経産,前回出産時は異常を指摘されていなかったが,今回妊娠9週3日で筋腫分娩を疑われ,紹介受診となった.クスコ診では腟内に易出血性の腫瘤脱出を認め,比較的境界明瞭な3.3×2.0cm大の充実性腫瘤を認めたため,筋腫分娩と推定された.筋腫は易出血性であり,筋腫の頸部が比較的細く切除可能と考えられたため,手術予定であったが,11週1日に排尿困難および下腹部痛が出現したため救急外来を受診した.来院時,経腹超音波では膀胱内の尿貯留著明であり,両側尿管の拡張および水腎症を呈していた.さらに,炎症反応の軽度上昇とこれまで腟内に存在していた腫瘤が外陰部に脱出して出血していたこと,及び尿閉の原因に今回の筋腫が関連していると推察されたため,入院翌日に経腟的に筋腫切除術を施行した.現在は症状改善して妊娠継続中である.
今回,妊娠中の筋腫分娩についてその管理,治療法及びその予後について,文献的報告も含めて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
452-452, 2012
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