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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
当院で経験した胎児共存奇胎の二例
中村 加奈子, 谷口 真紀子, 野木 才美, 西尾 浩, 後藤 妙恵子, 真壁 健, 佐藤 博久, 玉田 裕
国家公務員共済組合連合会立川病院産婦人科
【緒言】胎児共存奇胎は主に全胞状奇胎と正常胎児が双胎として子宮内に発育する病態であり,頻度は20000〜100000妊娠に1例と非常に稀である.近年生児を得たとの報告がみられるが,母体の合併症や存続絨毛症続発のリスクが高いため妊娠継続には慎重な判断を要する疾患である.妊娠初期に胎児共存奇胎が疑われ人工妊娠中絶術を施行し,病理検査・染色体検査の結果上記診断に至った2例を経験したので報告する.【症例1】27歳,1経妊1経産.自然妊娠.妊娠7週,重症妊娠悪阻のため当院紹介受診.妊娠8週,経腟超音波にて子宮内に胎嚢・胎児およびその近傍に多数の嚢胞を含む胎嚢様構造物を認め胎児共存奇胎が疑われた.妊娠悪阻は改善せず,妊娠10週4日に子宮内容除去術を施行した.奇胎成分の染色体検査結果は46XXであった.【症例2】37歳,1経妊0経産(自然流産1回),自然妊娠.妊娠13週の経腟超音波にて子宮腔内の一部に小嚢胞を認めた.妊娠16週に胎児共存奇胎が疑われ,プレグランディン膣錠による人工妊娠中絶術・子宮内容除去術を施行した.奇胎成分の染色体検査結果は46XXであった.胸部CT上多発肺転移を認めたため,MTX単剤による化学療法を施行しhCGは順調に下降した.【結論】胎児共存奇胎は妊娠継続のリスクが高い一方で,約40%で生児を得られたとの報告もあるため,両症例とも本人および家族に十分なインフォームドコンセントを行い治療方針を決定した.今後もさらなる情報の集積が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
454-454, 2012
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