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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
胞状奇胎における免疫染色の有用性
有澤 正義
都立大塚病院検査科
【目的】超音波の進化に伴い,早期の流産の子宮内掻爬術が行われるようになった.早期の胞状奇胎はcisternの形成もみられず,肉眼では通常の流産物と胞状奇胎の鑑別が難しい.早期の胞状奇胎はtrophoblastの増生がほとんどみられず,通常の染色(HE染色)による形態学的診断が極めて難しい.さらに,以前は全胞状奇胎の血管が欠如するといわれていたが,現在では細かな血管を有する事も知られ,血管の有無のみで全胞状奇胎を診断することはなくなった.HE染色だけでは全胞状奇胎を見逃す可能性があるということである.また,胞状奇胎の診断が,肉眼的診断から組織学的診断に変わったことにより組織像の詳細な検討が必要となった.p57Kip2免疫染色を用いた全胞状奇胎の補助診断が報告されている.p57は増殖,分化,apoptosisに関与しており,早期で全胞状奇胎の形態学的異常が明らかでない症例の補助診断になる可能性がある.p57Kip2免疫染色の検討も行い実際の診断に応用したいと考え検討した.【方法】病理組織台帳をみなおし,絨毛性疾患の通常の染色(HE染色)のスライドを再検した.p57Kip2免疫染色の手技を確立し,過去の診断に疑問を持ったスライドに対しp57Kip2免疫染色を行った.【結果】50件の絨毛性疾患と過去に診断された例の中には,部分胞状奇胎か全胞状奇胎か鑑別困難例があった.その中にp57Kip2免疫染色で診断が明らかになった例があった.【考察】最近,肉眼的に胞状奇胎と診断できなかった例の中に組織学的に胞状奇胎を診断した例があった.この症例にp57Kip2免疫染色を施行し,確定診断を得た.今後の胞状奇胎の病理診断の指標について報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
455-455, 2012
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