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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
重複子宮,閉塞性腟留血症をもつ思春期女性に対する内視鏡外科的治療の導入
橋場 剛士, 高木 崇子, 綱脇 智法, 松澤 由記子, 和地 祐一, 岩下 光利
杏林大学医学部産科婦人科学
[緒言]閉塞性腟中隔をともなう重複子宮をもつ女性は,初経後まもなく激烈な月経痛・下腹部痛を自覚し,増大した腟留血症を開放するための緊急手術を受けることが多い.晴天の霹靂のごとく発症した思春期女性に対して,心理的,身体的に優しい診断・治療法を提供することが私たち産婦人科医の責務である.[症例提示]14歳女性(中学2年生).初経は13歳時に発来し,その1年後から月経時に著明な腰痛,下腹部痛を自覚し,受診2週前から我慢できない疼痛(VAS 10/10)が持続するようになった.小児科受診時に下腹部腫瘤を指摘され,紹介にて当院初診した.第2次性徴は年齢相当.腹部MRI検査にて重複子宮,右腟留血症,右子宮留血症,右腎無形成と診断した.[手術手技]1.全身麻酔導入後,超音波断層法にて腟留血症と膀胱の位置関係を,直腸診にて腟留血症と直腸の位置関係を確認した後に腟中隔の最初の切開部位を決定.2.小さい腟鏡を挿入し,1.で決定した切開部位を超音波凝固切開装置を用いて開放し,腟内容物を流出させ洗浄.3.残存する腟中隔を左右の子宮腟部を視認しながら超音波凝固切開装置を用いて切断.4.腟中隔の腟口方向残存部もポケット形成しないように切断.手術時間34分,出血少量.手術後の経過は良好,VAS 2/10,学業に全く支障のない状態となった.[考察]思春期女性のMuller管異常症の診断ではMRI検査の診断精度が高く,侵襲性が低く,心理的にも受け入れられやすい.近年は月経発来の低年齢化が進んでいるため,従来の手術法に加えて内視鏡外科的治療の導入が必要.[結語]重複子宮,閉塞性腟留血症をもつ思春期女性に対して内視鏡外科的治療を導入し,良好な経過を得た.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
456-456, 2012
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