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<< 学会誌へ戻る 【緒言】Wunderlich症候群は重複子宮，重複腟，片側の腟閉鎖による傍頸部嚢胞，患側の腎形成不全を合併する稀な疾患であり，その疾患頻度の少なさや，疾患の形態の複雑さなどから，術前診断は困難とされている．今回我々は，2回の帝王切開術後しばらくして急性腹症を呈し，Wunderlich症候群の診断に至った1例を経験したので報告する．【症例】37歳．2回経妊2回経産，不妊治療歴なし．初回の妊娠は双角子宮合併のため当科紹介受診となり，その後妊娠41週2日に胎児機能不全を認めた為，緊急帝王切開術を施行した．2回目は帝王切開術後妊娠のため，妊娠38週0日に予定帝王切開術を施行した．2回とも左側の子宮に妊娠していた．2回目の帝王切開術後4カ月後に下腹部痛を主訴に当院救急搬送となり，腹部造影CTにて子宮腔内に血液貯留像と右腎欠損を認めたため，Wunderlich症候群による子宮留血症と診断した．翌日，腟閉鎖を呈していた右側子宮に対して経腟的血腫切開開口術を施行し，450mlの暗赤色の内容物を除去した．経過良好にて術後3日目に退院した．【結語】稀な子宮奇形であるWunderlich症候群の1例を経験した．若年女児に発症することが多く，子宮発育不良や感染により不妊となる頻度が高い疾患であるが，今回2回の妊娠分娩後に診断に至った．双角子宮を認める症例ではHerlyn-Werner症候群やWunderlich症候群を念頭に置き，造影CTやDIP，MRIを行うことで，腎奇形の有無などの病態把握と，その後に起こる可能性がある子宮留血症に対して事前の対応が可能になると思われる． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 458-458, 2012 |
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