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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
術前診断は異所性妊娠破裂だったが手術所見と病理診断より腹膜発生の全胞状奇胎と診断した1例
太田 創1, 小田 力1, 林 昌貴1, 遠武 孝祐1, 御子柴 尚郎1, 尾松 睦子2, 九島 巳樹3
秦野赤十字病院産婦人科1, 昭和大学横浜市北部病院病理2, 昭和大学病理3
異所性胞状奇胎は稀な疾患であり,医中誌で「異所性妊娠または子宮外妊娠」と「胞状奇胎」で検索した結果,子宮外発生の全胞状奇胎は卵管発生の1症例のみであり腹膜発生の報告はなかった.今回,異所性妊娠破裂の術前診断で緊急開腹手術を施行したが手術所見と病理診断の結果よりダグラス窩腹膜に発生した全胞状奇胎と判断した1例を報告する.症例は23歳1回経妊1回経産婦,月経は28日周期で順調.月経周期58日目に下腹部痛の主訴で前医を受診したが,異所性妊娠破裂を疑われ当科へ搬送された.尿中HCGは8000 IU/Lだったが経腟超音波検査で子宮内に胎嚢を確認できず,両側付属器は不均質エコーのため不明瞭だった.ダグラス窩にはecho free spaceを認めた.ショックバイタルを認めたので異所性妊娠破裂の術前診断で緊急開腹手術を施行した.腹腔内は凝血塊で満ちていたが子宮と両側付属器に明らかな異常所見は認めなかった.凝血塊の中に混在する膜様組織とダグラス窩腹膜に固着する絨毛様組織を認めた.ダグラス窩の絨毛様組織を摘出したが腹膜欠損部から出血が持続したためアルゴンレーザーで燃灼止血した.術中出血は869mlで濃厚赤血球液4単位を輸血した.HE染色で不整な絨毛と栄養膜細胞の高度な増生を認め,間質は部分的に浮腫状で核崩壊像や栄養膜細胞の封入形成を認めた.免疫染色でp57kipは細胞性栄養膜細胞も絨毛間質細胞も陰性で病理診断は全胞状奇胎だった.術後経過観察中であるが血中HCG(CLEIA法)は術後7週に陰性化して,その後21週まで陽転化は認めていない.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
464-464, 2012
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