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<< 学会誌へ戻る 卵巣成熟嚢胞性奇形腫の約2〜3％に悪性転化が観察され，その約90％が扁平上皮癌であることが報告されている．今回，術前に強く悪性転化を疑った卵巣成熟嚢胞性奇形腫の一例を経験したので報告する．症例は，45歳，未経妊．不正性器出血を主訴に近医を受診した．その際に，超音波断層像にて卵巣の腫大を指摘され当科へ紹介となった．内診にて超手拳大の付属器腫瘤を触知した．骨盤MRIでは最大径127mmの腫瘤性病変を認め，内部に脂肪成分を含み液面を形成し液面に浮遊する円形構造を認め成熟嚢胞性奇形腫が疑われた．また，壁の一部に不整像が観察された．それとともに，SCC 4.6ng/mLと軽度上昇しており，奇形腫の悪性転化が強く疑われた．某日，開腹術を施行した．左卵巣は小児頭大に腫大していた．腫瘍内には脂肪，および毛髪を認めた．また，壁の一部は不整であり，一部に肥厚が観察された．術中迅速病理診断に提出したところ悪性，扁平上皮癌との返答であった．そのために，術式は両側付属器切除術，腹式単純子宮切除術，大網切除術，骨盤および傍大動脈リンパ節廓清術を施行した．病理組織診断は，卵巣成熟嚢胞性奇形腫の腺扁平上皮癌への悪性転化との結果であった．卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化に関して若干の文献的考察を加え報告する． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 464-464, 2012 |
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