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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
巨大卵巣腫瘍の周術期管理の一例
佐藤 杏奈, 市山 卓彦, 植木 典和, 平山 貴士, 山口 貴史, 田中 沙織, 菅沼 牧知子, 田中 利隆, 五十嵐 優子, 田口 雄史, 三橋 直樹
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科
巨大卵巣腫瘍は循環・呼吸動態に影響を及ぼしやすいため,周術期の管理には注意が必要である.今回我々は,術前より腫瘍内容液をドレナージすることにより,術中合併症なく巨大卵巣腫瘍を摘出しえた症例を経験した.症例は71歳,2経妊2経産.約1年前より下腹部膨満感を自覚していたが,呼吸苦が出現したため前医に救急搬送された.診察上,巨大骨盤内腫瘍と下肢静脈血栓が疑われたため精査加療目的に同日当院へ搬送となった.来院時,造影CT検査を施行し,約35×25×10cm大の充実成分を伴わない多嚢胞性の巨大卵巣腫瘍,左総腸骨静脈から大腿静脈にかけての下肢静脈血栓,両側無気肺と胸・腹水を認めた.症状の改善には腫瘍の摘出が必要と考えられたが,巨大卵巣腫瘍摘出に伴う静脈還流量の増加による再膨張性肺水腫や,急激な循環動態の変化による心不全,また下肢静脈血栓による肺動脈血栓塞栓症等が合併症として予想された.これらの合併症を予防するため,手術当日の術前に全身モニタリングを行いながら腫瘍を経腹的に穿刺し,約5時間かけて4000mlの腫瘍内容液を緩徐に吸引した.さらに開腹後は輸血・凝固因子・アルブミン製剤を投与しながら腫瘍内容物を約2時間かけて6900ml吸引し,循環動態が安定している時点で腫瘍摘出を行った.腫瘍は内容物と合計すると16.7kgだった.術中の呼吸・循環動態は安定しており,術後も抜管可能であった.巨大卵巣腫瘍は手術により循環・呼吸動態に影響を及ぼしやすく,周術期は麻酔科医と協力して循環・呼吸動態に留意しながら慎重に管理する必要がある.また手術に際して,術前の腫瘍内容液ドレナージは合併症を軽減する方法の一つとして有用と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
468-468, 2012
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