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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
急性腹症にて開腹手術を行い,卵管捻転と診断された1例


家坂 直子, 深石 孝夫, 鏡 一成, 島村 京子, 小林 未央
桐生厚生総合病院産婦人科


 産婦人科救急で卵巣腫瘍茎捻転はよく経験される疾患だが,卵管水腫が捻転を起こすことは稀である.今回我々は,急性腹症を呈した卵管捻転を経験したので報告する.【症例】26歳,2経妊2経産.25歳時に他院にて右卵巣成熟奇形種に対し右卵巣嚢腫摘出術施行.最終月経より5日目,急激に発症した下腹痛を主訴に救急外来受診.腹部造影CTにて左卵巣嚢腫を疑われ,当科コンサルトとなった.WBC 6900,CRP 0.36と炎症反応の著明な上昇は認めなかった.内診では子宮頸部移動痛あり.超音波上子宮左側に53×66mmの低輝度の単純性嚢胞を認めた.診察時も下腹痛持続しており疼痛管理目的で入院.造影MRIを施行したところ,正常大の左卵巣の頭側に径1cm程度の索状物で連続した75×60mmの単純性嚢胞を認めた.入院後,鎮痛剤を用いても痛みが持続したため緊急開腹手術施行.腹腔内には血性腹水貯留あり.左卵管は鶏卵大に腫大し,時計周りに540度捻転していたため左卵管切除術を施行.左卵巣に異常所見は認めず.左卵管内容は淡黄色の漿液性体液だった.病理組織診でも卵管水腫茎捻転と診断された.【考察】卵管水腫は,一般細菌やクラミジアなどが経膣的に感染し,卵管を閉鎖することにより卵管内に分泌物が貯留した疾患で,臨床的にしばしば経験される.一方卵管捻転の発症頻度は,150万人に1人程度とされている.他にも傍卵巣嚢腫によって卵管捻転が起こることがある.急性腹症を呈した女性で嚢胞性腫瘤の他に正常卵巣を認めた場合,卵管水腫や傍卵巣嚢腫などによる卵管捻転の可能性も考慮する必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 469-469, 2012


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