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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した嚢胞性子宮腺筋症の2例
古野 敦子, 石川 雅彦, 林 真理子, 橋田 修, 斉藤 圭介, 高安 義弘
大和市立病院産婦人科
【緒言】子宮腺筋症はびまん性に病変が増殖する例が一般的であり,嚢胞形成は稀で嚢胞性子宮腺筋症と呼ぶ.術前内膜症性病変を疑うも,漿膜下筋腫変性の可能性も否定できなかった症例に対し,腹腔鏡下腫瘍摘出術を行い,病理学的に子宮腺筋症と診断された2例を経験したので報告する.【症例1】48歳,1経妊1経産,1年前より左下腹部痛出現.前医で内膜症性嚢胞として9か月間ディナゲストを投与するも症状改善なく,連日鎮痛剤内服することで対応.転医し,MRI撮影.子宮体部後壁より発生する壁の増強効果を伴う約5cm大の出血性嚢胞性腫瘤あり.漿膜下嚢胞性子宮腺筋症疑いにて紹介.腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行.後壁やや左側に茎部2cm程度の長径5cm大の有茎性腫瘤あり,肉眼的には漿膜下筋腫.内容漏出しないように摘出し,EZパースに回収,腫瘤を分割して腹腔外へ回収.検体量:40g 術後下腹部痛完全消失.【症例2】41歳,2経妊0経産,3〜4年前より前医で筋腫を指摘されており,放置.筋腫変性所見,腫瘤の増大傾向あり,精査加療目的で当院紹介.MRIで子宮前壁より発生する6.8cm大の境界明瞭なT2W1低信号腫瘤で内部に出血信号の散在する内膜症性病変も疑われる漿膜下筋腫の診断.腹腔鏡下子宮筋腫核出術施行.肉眼的には有茎性の漿膜下筋腫.腹膜,腸間膜に強固に癒着.腫瘍摘出し,モルセレーターで細断,腹腔外へ回収.検体量:140g.病理結果は子宮腺筋症であった.CA125,CA19-9は著明に低下し,慢性の腰痛は消失した.【まとめ】嚢胞性子宮腺筋症は薬物治療に抵抗性の骨盤痛,月経困難症を伴うことが多い.今回の2症例では低侵襲の腹腔鏡下での腫瘍摘出が骨盤痛に非常に有効であった.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
471-471, 2012
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