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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍と虫垂炎を合併した肥満患者に対し,安全かつ容易に腹腔鏡手術を施行した一症例
杉山 太朗, 佐柄 祐介, 成田 篤哉, 石井 博樹, 宇田 優貴, 西島 義博, 東郷 敦子, 前田 大伸, 三上 幹男
東海大学医学部付属八王子病院産婦人科
【緒言】近年,婦人科手術における腹腔鏡手術の割合は増加傾向にあり,手術器具に関しても操作面,コスト面において改良が重ねられており,工夫次第によって様々な使い方が可能となる.今回単孔式デバイスであるE・Zアクセスを使用することにより,肥満症例に対する卵巣腫瘍と虫垂炎の手術を安全かつ容易に施行することができたので報告する.【症例】41歳,0経妊0経産,未婚,身長153cm,体重88kg,BMI37.6.下腹部痛にて前医外科受診し,卵巣腫瘍茎捻転が疑われ,当院婦人科へ搬送となった.当初の症状は治まっていたが,右下腹部に軽度圧痛あり,6cm大の右卵巣腫瘍を認める為,緊急で腹腔鏡手術を施行した.臍を縦に2.5cm切開してE・Zアクセスを装着し2本トロカーを挿入,左下腹部に5mmのトロカーを挿入し合計3本のトロカーで手術を施行した.LigaSureブラントチップを使用し右付属器切除を施行した後,虫垂を確認したところ,虫垂の腫大と硬結を認め虫垂炎と思われた.虫垂動脈をLigaSureで切断し,虫垂をエンドループPDSIIで2回結紮した後に切除した.手術翌日より食事を開始し,術後5日目に退院となった.【考察】肥満症例に対する腹腔鏡手術は避けられがちだが,臍を利用したオープン法による気腹は比較的安全に施行可能と思われた.手術創も小さいことから創離解のリスクも軽減する.E・Zアクセスに加えて1ポート追加することで腹腔内の操作は容易となる.そしてE・Zアクセスのトロカーは位置の変更が可能なので,側腹部や上腹部の操作も容易に施行可能である.肥満患者で診断に苦慮する症例でも,腹腔鏡で手術を開始し診断をつけ,そのまま完遂することが可能と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
472-472, 2012
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