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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
当科における単孔式腹腔鏡手術の導入について
中川 圭介, 佐川 義英, 古村 絢子, 寺田 光二郎, 嘉本 寛江, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中江 華子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
腹腔鏡手術の大きな長所の1つに低侵襲性があり,創部が小さいことは術後外観上のメリットでもある.同じ腹腔鏡手術でもさらに侵襲の低減化が進み,近年考案されたのが単孔式腹腔鏡手術であり,たびたび報告を目にするようになった.当科では1994年より腹腔鏡手術を行っているが,その標準術式は多孔式であり,主に3孔式で行われている.今回我々は単孔式腹腔鏡下手術を導入したので,それらの症例について従来法との比較・検討を行った.当科ではこれまでに,SILSポートを用いて3例の単孔式手術を行っているが,手術適応は片側付属器切除例で癒着の可能性が低い症例に限定し,子宮内膜症性卵巣嚢腫など,癒着の可能性が高いと思われる症例は除外している.1例目は腫瘍径8.8cm,手術時間は98分,2例目は4.5cmで85分,3例目は10cmで128分であった.従来法における成績;腹腔鏡下付属器切除術では平均腫瘍径6.87±4.95cmで平均手術時間89.8±14.1分,腹腔鏡下嚢腫摘出術ではそれぞれ6.87±3.54cm,109.6±67.2分,開腹手術では10.6±12.4cmで87.2±24.7分であった.腫瘍径が大きくなると手術時間は従来法の平均を超えてしまい,我々の単孔式腹腔鏡手術における習熟不足を示唆している.当科の現状では,単孔式腹腔鏡手術の適応症例は癒着の可能性が少ない付属器切除術,あるいは卵管切除術症例に限定せざるを得ないと考えている.しかし単孔式腹腔鏡手術の創の少なさは美容的メリットであり,多孔式よりも術後疼痛が少ないという報告もある.今後症例を重ねていき,いずれは卵巣嚢腫摘出術等への適応拡大も考慮したい.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
473-473, 2012
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