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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
癌性腹膜炎を思わせる腹腔内所見を呈した異所性子宮内膜症の一例
菊嶋 聡子, 寺本 勝寛, 池上 淳, 坂本 育子
山梨県立中央病院婦人科
【緒言】子宮内膜症の発生部位として大網は1%以下で非常に稀である.今回我々は癌性腹膜炎との鑑別が困難であった異所性子宮内膜症の一例を経験したので報告する.【症例】42歳,1経妊,子宮内膜肥厚と貧血にて紹介となった.細胞診は頸部スメアclass II,体部スメア陰性で,腫瘍マーカーはCA125 101.3U/mlとやや高値であった.MRIにて左卵巣に一部充実成分を伴う腫瘤を認め,悪性を否定できないため開腹術を施行した.開腹時,両側付属器には異常なく,MRIで指摘された左卵巣の腫瘤は,S状結腸の漿膜が鶏卵大に腫大したものであった.大網はomental cake様で,S状結腸癌の大網転移が疑われ,大網生検を施行し,閉腹した.腹水細胞診class Iで病理組織検査の結果は大網に生じた異所性子宮内膜症であった.術後消化器系精査を行い,消化器系悪性腫瘍は否定されたため腸管と大網に生じた異所性内膜症と最終的に診断した.現在GnRH投与にて加療しており内膜症病変の縮小を認めている.【考察】異所性子宮内膜症は時に骨盤内に腫瘤や播種性病変を形成し,悪性腫瘍との鑑別が困難である.閉経前の女性や閉経後エストロゲン補充療法を施行している症例においては,月経周期と下腹部痛との関連性やMRIにおいて出血性嚢胞を疑う所見の有無を把握するなど様々な要素を組み合わせ,鑑別する必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
474-474, 2012
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