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<< 学会誌へ戻る 【緒言】骨盤内子宮内膜症はその発生部位により多彩な形態を示すことが知られている．今回我々は卵巣癌を疑ったが，迅速病理診断の結果平滑筋増生を伴う子宮内膜症性腫瘤であった症例を経験した．【症例】51歳，1経妊1経産，腹痛・腫瘤感を主訴に近医受診し，卵巣癌を疑い当院紹介となった．CT・MRI上，下腹部に充実成分を含み一部造影効果をもつ約13cmの骨盤腫瘍を認めた．血性を疑わせる高吸収域を示す腹水を認め，臨床症状と併せ卵巣腫瘍の破裂を疑った．腹水細胞診はclass2，PETで腫瘍の充実性部分に一致してSUVmax2.6の淡い集積を認めた．卵巣癌腹腔内破裂を疑い，開腹手術を施行した．腹腔内には血性腹水が約2000ml貯留し，骨盤内腫瘍は13cm大で皮膜破綻し，一部が子宮後壁及び直腸表面と強固に癒着をしていた．術中迅速病理診断では，骨盤内子宮内膜症であり，単純子宮全摘・両側附属器切除を施行した．術後病理組織学的には平滑筋増生を伴う子宮内膜症性腫瘤であった．【考察】内膜症病変に平滑筋化生がおこることは知られており，発生機序は腹膜に移植された内膜組織からの化生または，腹膜からの上皮化生による内膜・平滑筋への分化のいずれも考えられるが，本症例のように腫瘤を形成することは珍しい．本症例では平滑筋増生した組織が画像上での充実成分の形態や造影効果など悪性を疑わせる所見を示していたものと考えられ，子宮内膜症性腫瘤の診断・治療において，術中迅速病理診断がより重要と考える． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 474-474, 2012 |
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