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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
卵巣癌終末期における腹水濾過濃縮再静注法の使用経験


大沼 えみ, 松永 竜也, 寺西 絵梨, 山川 千夏, 松崎 結花里, 瀬川 恵子, 永田 亮, 納田 容子, 山本 葉子, 野村 可之, 小林 有紀, 杉浦 賢
横須賀共済病院産婦人科


【はじめに】卵巣癌終末期において,大量腹水に伴う腹部膨満感,倦怠感,食思不振など種々の症状の対応に苦慮することがしばしばある.しかし,症状緩和を目的とした腹水穿刺によるドレナージは,水分や電解質,血清蛋白などの喪失により体液のバランスが崩れることから排液量や回数が制限される.今回我々は胃癌や肝硬変,慢性腎不全に使用されている腹水濾過濃縮再静注法(以下CART)を使用して症状緩和を試みたので報告する.【方法】症例は49歳〜77歳,卵巣癌IIIc期再発〜IV期の4例の腹水貯留による腹部膨満感に対し,計5回のCARTを行った.1600〜6000mlの腹水を回収した後,濾過器で細胞成分を除去し,濃縮器で濾過液を約400〜1000mlに濃縮して再静注した.初回は手技に熟練した者の指導を要したが,以降はスタッフ2名で準備・濾過・濃縮・再静注を通して3時間程度で行うことができた.処置の前後で全身状態の悪化や苦痛は認めず,腹部膨満感や種々の症状の著明な改善を認め,一時的に摂食や歩行,退院が可能になった症例もあった.施行当日の反応性の発熱以外に明らかな副作用は見られず,低栄養の増悪もなかった.【考察】CARTは腹水穿刺のみよりも1度に大量の腹水除去が可能であり,種々の症状緩和に有効である.フィルターを含めた専用キットの購入が必要だが,他は病棟内にある物品で施行可能である.また,手技を習熟することで全行程を数時間以内に施行することが十分可能である.手技の煩雑さはあるが,CARTは腹水貯留による症状改善に有用な手段と考える.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 482-482, 2012


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