|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
性交後腟裂傷の3例
中司 匡哉, 笹 秀典, 太枝 美帆, 精 きぐな, 中西 篤史, 青山 真, 吉田 昌史, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科
性交後の腟壁裂傷は,手術既往や閉経後,外傷後などの場合に多い.今回,手術や外傷の既往のない性成熟女性の性交後の腟裂傷3例を報告する.症例1:24歳,未経妊,性交後翌日に性器出血多量で搬送入院.腟壁右下部に長径3cmの裂傷を認め,縫合止血した.当科での出血量は約100g.症例2:43歳,3経産,ホテルで性具使用中に性器出血多量で搬送入院.入院時はほぼ止血していたが,左腟壁の裂傷深く長径5cmと腟円蓋まで及ぶため,縫合を要した.術中出血は158g,術後は血清ヘモグロビン値が5.5 g/dLまで低下したが鉄剤投与で対処した.症例3:33歳,2経産,ホテルで性交後出血大量にて搬送入院.入院時,腟内に凝血貯留205g,CTと超音波検査にて後腹膜や腹腔内に出血がないことを確認した.子宮頸管右側の腟裂傷部位から動脈性に出血しており,縫合止血した.術中出血量は990g,輸血は濃厚赤血球4単位,翌日の血清ヘモグロビン値は9.3 g/dLであった.腟裂傷は,強出血を生じ容易に出血性ショックに陥る婦人科救急疾患である.裂傷が深いと腹腔と交通する場合があり,修復に開腹や腹腔鏡を要したという報告もある.性交後の多量の性器出血に対しては,詳細な病歴聴取,早急な診断,治療が望まれる.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
485-485, 2012
|