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【原著】
子宮体がん症例のMRIおよび内膜組織生検による術前診断の精度に関する検討
コ中 真由美, 小川 公一, 遠武 孝祐, 前田 雄岳, 宮上 哲, 新城 梓, 吉江 正紀, 安藤 直子, 佐々木 康, 高橋 諄
昭和大学横浜市北部病院産婦人科
子宮体がんにおいては,治療の第一選択は手術療法であり,進行期の決定は術後の病理組織診断による.再発リスクの評価に基づいて術後療法の有無及び方法が決定される.術前には,子宮内膜掻爬による組織診,画像診断等で進行期に準じた広がりを診断し,手術術式を検討している.今回,子宮内膜組織診による組織型・分化度の診断,MRI検査による筋層浸潤・頸部浸潤の評価と術後の病理組織診断とを比較検討し,手術進行期分類に合う術式が実施されていたかを検討した.内膜組織診による組織型・分化度の診断は約8割が術後の病理組織診断と一致していた.筋層浸潤に関しては過小評価が4例,過大評価が4例あり,正診率は75%であった.頸部浸潤に関しては過小評価が4例,過大評価が2例あり,正診率は81%であった.筋層浸潤の診断を誤った結果,手術進行期分類に合わない術式が施行された症例が2例あった.内膜掻爬による病理組織診断,MRI検査による進行期の評価は手術術式の決定に有用であるが,今回の検討で子宮筋腫合併症例や造影MRI検査が施行できない症例等で進行期の診断を誤る症例があった.リンパ節郭清の範囲などを判断する場合は,進行期分類に合わない術式になることがあることを患者・家族にインフォームドコンセントすることが必要である.今後,画像診断等の進歩により,術後の進行期分類と同等の結果が得られ,術式に反映されることが期待される.
Key words:Endometrial cancer, Magnetic resonance imaging, Endometrial curettage, Accuracy
関東連合産科婦人科学会誌, 49(4)
489-494, 2012
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