|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【原著】
器械的熟化併用による分娩誘発の成績―分娩誘発177症例の後方視的検討
大塚 純一1), 岡垣 竜吾1), 中山 真人1), 鈴木 裕之1), 鈴木 元晴1), 石原 理1), 荒木 隆一郎2), 板倉 敦夫1)
埼玉医科大学産科学婦人科学教室1)
埼玉医科大学地域医学・医療センター2)
分娩誘発においては子宮頸管の熟化が重要である.現在当院では子宮頸管未熟例には吸湿性頸管拡張材および頸管熟化用メトロイリンテルによる器械的熟化後に子宮収縮薬点滴を行うというプロトコールにより分娩誘発を行っている.今回我々は当院の分娩誘発法の有効性につき検討する目的で後方視的に解析した.2006年1月から2010年12月の5年間に器械的熟化ののち子宮収縮薬点滴を行った177例の診療記録を解析し,熟化処置前後のBishop score,最終経腟分娩率,子宮収縮薬点滴開始から24時間以内の経腟分娩率,帝王切開となった適応,誘発に伴う有害事象につき検討した.誘発の適応は前期破水・予定日超過が半数を占め,最終的に経腟分娩に至った産婦は135例(76%)であった.器械的熟化はBishop scoreの中央値を3点上昇させた.器械的頸管熟化処置前のBishop scoreと最終経腟分娩率は,経産婦のみで有意な傾向性がみられ,経産婦では5点以上で最終的に全例経腟分娩に至っていた.器械的頸管熟化処置後(子宮収縮薬開始直前)のBishop scoreと24時間以内に経腟分娩が成功する率についても,経産婦のみで有意な傾向性がみられ,経産婦では,8点以上で全例24時間以内に経腟分娩となった.一方初産婦は24時間以内の経腟分娩率は53%であり,Bishop scoreとの傾向性は見られなかった.分娩誘発中に子宮破裂や臍帯脱出などの重篤な有害事象はみられなかった.今回の結果は,誘発開始前に経腟分娩の見込みを予測・説明する上で有用な情報となった.
Key words:Mechanical dilatation, Induction of labor, Bishop score
関東連合産科婦人科学会誌, 49(4)
495-502, 2012
|