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【原著】
外科的介入を要した妊娠合併卵巣腫瘍症例の検討


吉田 智香子, 藤原 寛行, 竹井 裕二, 嵯峨 泰, 町田 静生, 種市 明代, 高橋 寿々代, 池田 伴衣, 森澤 宏行, 渡辺 尚, 松原 茂樹, 鈴木 光明
自治医科大学附属病院産婦人科


 外科的介入を要した妊娠合併卵巣腫瘍症例を調査し,その臨床的特徴を把握し,外科的介入の妊娠・分娩への影響を検討したので報告する.2001年1月〜2010年12月の10年間に,当科で妊娠合併卵巣腫瘍に対して手術を施行した81例を対象に,患者背景,診断週数,手術施行週数,病理診断,術後妊娠経過等を後方視的に調査した.母体年齢中央値28歳(19〜41歳),平均診断妊娠週数9週1日(3週5日〜37週4日),平均手術施行妊娠週数16週3日(5週0日〜38週6日),平均腫瘍径9.2 cm(4〜24 cm)であった.手術時期別頻度は,一定期間待機後妊娠中に手術した群58%(平均14週6日),診断と同時に緊急開腹した急性腹症群27%(平均11週2日),満期帝王切開と同時介入した群10%(平均38週0日),分娩・流産後の介入群5%であった.悪性は4例(5%),漿液性腺癌,漿液性境界悪性,粘液性境界悪性,未熟奇形腫G3が各1例であった.良性は成熟嚢胞性奇形腫36例(44%),内膜症性嚢胞11例(14%),粘液性腺腫9例(11%),漿液性腺腫9例(11%),黄体嚢胞7例(9%),その他5例(6%)であった.茎捻転は14例に認められたが,成熟嚢胞性奇形腫は3例(21%)のみであり,妊娠中の茎捻転例には非成熟嚢胞性奇形腫が高率に含まれていた.術後流産は2例(2%)に認められたが,いずれも急性腹症症例であった.児の平均出生週数38週3日±12日,平均出生体重2,898±396 gで手術適応や手術時期による差は認めず,手術は児に対して安全に施行可能であり,要介入と判断した場合は躊躇せず行うべきと考えられた.

Key words:Adnexal mass, Pregnancy, Surgery, Torsion

関東連合産科婦人科学会誌, 49(4) 503-507, 2012


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