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【原著】
当院における婦人科検診の現状:医師による任意型検診の有効性に関する検討
小泉 郁子, 賀来 宗明
医療法人社団鳳凰会フェニックスメディカルクリニック産婦人科
当院で1年間に婦人科検診を受診した約1万5千人(平均年齢38.5±9.8歳)について検診の記録を後方視的に解析し,任意型検診の有用性を検討することとした.検診での子宮頸部細胞診異常の発見者は210人,要精検率は1.43%であった.細胞診異常が発見される頻度を年齢別に検討してみると40代では100例に1例,20〜30代の若年者では倍の2例,50〜70代の高齢者では0.5例の頻度であることがわかった.210例のうち当院にて精検,再検を受診したのは174人,82.9%であった.体制や個別の対応に工夫を凝らすことで精検受診率を高めることができたと考えられた.要精検者の最終診断には,子宮頸がん7例(上皮内がん3例,浸潤がん4例),高度異形成3例が含まれていた.また,内診では悪性卵巣腫瘍3例も発見できた.子宮頸がん発見率は当院で0.05%,国立がん研究センターなどがまとめたデータと差が認められなかったが,高度異形成まで含めた子宮頸部疾患発見率は0.07%と高かった.一般外来や専門外来を併設している施設において産婦人科専門医が行う任意型婦人科検診では,一般の対策型検診よりも,婦人科悪性(関連)疾患の発見率を高めることができたと考えられた.婦人科検診の場での経腟超音波検査申し込みは少数であるが,経腟超音波併用婦人科検診を受診することで任意型婦人科検診における悪性疾患発見数はさらに増加すると考えられた.
Key words:Cervical cancer screening, Opportunistic screening, Abnormal cytology, Pelvic tumor
関東連合産科婦人科学会誌, 49(4)
515-520, 2012
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