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【原著】
当院における双胎妊娠の形態異常児に関する検討
田丸 俊輔, 西林 学, 水上 順智, 難波 聡, 三木 明徳, 梶原 健, 岡垣 竜吾, 石原 理, 板倉 敦夫
埼玉医科大学産科婦人科
【目的】双胎児の形態異常の現状と,超音波検査診断上注意すべき点を明らかにすることを目的とし,当院で出生前より管理した双胎,単胎の形態異常児につき検討した.【対象と方法】2007年1月から2011年4月に当科で管理し,22週以降に分娩となった双胎児272例と単胎児2,299例を対象とした.希望者には全例超音波スクリーニング検査,スクリーニング陽性例には精査超音波検査を行い,一絨毛膜双胎,および産科スクリーニング検査で心血管系異常が疑われた症例には,小児循環器内科医による胎児心臓超音波検査を施行した.【結果】新生児期までに診断された形態異常の割合は,形態異常の精査を目的に紹介された例を除外した場合,双胎で3.4%(9/268),単胎で1.2%(25/2,168)と前者で有意に高かった(p<0.01).形態異常精査依頼例を除外した場合,双胎の形態異常の89%(8/9)は出生前診断されなかったが,3例は心室中隔欠損単独,5例は出生前の超音波診断が困難な異常であった.また,一絨毛膜双胎での心血管系異常の頻度は3.0%(3/100)と高率であった.【結論】双胎では形態異常の頻度は上昇するが,出生前診断率は低下する.出生前形態異常検査を希望する双胎妊婦には,産科超音波専門医によるスクリーニング検査や,心血管系異常ハイリスク例に対する小児循環器内科医による精査を併用することにより,未診断のまま出生することで予後を悪化させる例を減少させる可能性があると考える.
Key words:Congenital anomaly, Prenatal diagnosis, Twin pregnancy
関東連合産科婦人科学会誌, 49(4)
521-525, 2012
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