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【原著】
入院管理を要した卵巣出血62症例の後方視的検討:PT活性低下症例では手術介入が必要となる可能性が高い
瀬戸 さち恵1), 岡垣 竜吾1), 菊地 真理子1), 梶原 健1), 石原 理1), 荒木 隆一郎2), 板倉 敦夫1)
埼玉医科大学産科学婦人科学教室1), 埼玉医科大学地域医学・医療センター2)
卵巣出血は,腹腔内出血が卵巣に起因する場合の診断名である.日常診療において遭遇することも多く,重症例では輸血や手術的介入が必要であること,他の急性腹症との鑑別を要することから,婦人科救急疾患として非常に重要な疾患である.今回我々は卵巣出血の診断と管理の最適化を目的として,当院に入院管理となった62症例の患者背景と入院時所見を後方視的に解析した.その結果,卵巣出血は20代〜30代前半の比較的やせ型の女性に多くみられた.また61.3%が性交直後に発症していた.下腹部痛を主訴に受診する女性には最終性交も尋ねるよう,救急外来を担当する部署への啓蒙が重要であると考える.さらに手術症例では入院時採血検査におけるPT活性低下が多く認められた.PT活性低下症例では入院時から輸血および手術的介入の準備を行い,厳重監視とすべきである.
Key words:Ovarian bleeding, Surgical intervention
関東連合産科婦人科学会誌, 49(4)
527-533, 2012
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