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【原著】
卵巣甲状腺腫12例の臨床病理学的所見―画像所見を中心に―


戸代原 加奈, 町田 静生, 向田 幸子, 昇 千穂美, 木村 円, 近澤 研郎, 奥野 さつき, 佐藤 友美, 廣瀬 典子, 池田 伴衣, 種市 明代, 竹井 裕二, 藤原 寛行, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科


 卵巣甲状腺腫は腫瘍組織の多くを甲状腺組織が占める,稀な疾患である.最近9年間に当科で経験した卵巣甲状腺腫症例12例を後方視的に検討した.本報告では卵巣甲状腺腫の定義を「腫瘍組織のほとんどを甲状腺組織が占めるか,肉眼的にも甲状腺組織が認められるくらい広範囲を占めるもの」とした.同期間に当科で行われた卵巣腫瘍手術症例数から算出した卵巣甲状腺腫の頻度は0.7%であった.年齢中央値は49.5(27〜70)歳で,全例が片側性であった.8例は腹部症状を有し,4例は検診を契機に卵巣嚢腫を指摘された.腫瘍径は中央値7(5〜18)cmであった.CA125の軽度高値を3例で認めたが,いずれも腹水貯留例であった.明らかな甲状腺機能異常例はなかった.MRI検査では9例に充実部分が存在し,うち8例に造影効果を認めた.術前に境界悪性以上が疑われたのは8例であった.術中迅速病理診断で甲状腺腫と診断し得たのは9例であった.肉眼的にはほとんどの症例が多房性の表面平滑な腫瘤で,割面で黄褐色の光沢のあるゼラチン様部分を認めた.病理組織検査では大小不同の濾胞形成を認め,濾胞は異型のない一層の円柱上皮で構成されていた.卵巣甲状腺腫は多くが良性腫瘍であるが,画像診断で充実部分や造影効果,腹水貯留を認めることも多いため,悪性が疑われやすい.稀な疾患ではあるが,悪性卵巣腫瘍との鑑別として念頭におく必要がある.

Key words:Struma ovarii, Clinical features

関東連合産科婦人科学会誌, 49(4) 535-541, 2012


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