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【症例報告】
妊娠中に発症し化学療法を行った急性白血病合併妊娠の二例
北川 雅一, 上田 麗子, 川野 藍子, 石寺 由美, 古野 敦子, 尾堀 佐知子, 山口 瑞穂, 田野島 美城, 長瀬 寛美, 井畑 穣, 小川 幸, 斎藤 圭介, 奥田 美加, 高橋 恒男, 桑原 英幸*, 平原 史樹**
横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター, *横浜市立大学附属市民総合医療センター血液内科, **横浜市立大学附属病院産婦人科
妊娠中の急性白血病発症は非常にまれである.今回我々は,妊娠を継続しながら化学療法を行った二症例を経験したので報告する. 症例1. 27歳,0回経妊0回経産.妊娠28週健診時のスクリーニング血液検査で芽球が認められ,骨髄検査により急性骨髄性白血病M2と診断された.妊娠29〜30週にかけ寛解導入療法を施行し,寛解中の妊娠35週に帝王切開で分娩した.児は2,430 g(AFD)の女児,Apgar Score 9点(5分)であり,大きな合併症の発生もなく経過良好であった.母体は術後9日より地固め療法を開始した. 症例2. 36歳,2回経妊2回経産.前2回帝王切開既往.妊娠26週健診時のスクリーニング血液検査で芽球が認められ,骨髄検査により急性リンパ性白血病,フィラデルフィア染色体陽性と診断された.妊娠27〜30週にかけて寛解導入療法を施行した.寛解後にベタメタゾンを投与し,妊娠32週に帝王切開で分娩した.児は1,526 g(AFD)の女児,Apgar Score 7点(5分)であり,出生後は一過性多呼吸に対して一時的に呼吸管理を要したが,その後の経過は良好であった.母体は術後11日より地固め療法を開始した.白血病では,早期診断・早期治療開始が重要である.妊娠中に発症した場合は,その発症時期によっては今回の症例のように妊娠を継続しながらの化学療法が必要とされることがある.またその場合は,化学療法後の骨髄抑制や,次回化学療法の開始時期および妊娠週数などの状況を考慮して児の娩出時期を検討する必要がある.
Key words:Pregnancy, Acute leukemia, Chemotherapy
関東連合産科婦人科学会誌, 49(4)
601-608, 2012
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