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【症例報告】
筋層浸潤が疑われ妊孕性温存が不可能であったAtypical polypoid adenomyoma:APAMの1症例


田中 可子1), 飯塚 千祥1), 奥山 亜由美1), 長島 稔1), 宮本 真豪1), 市原 三義1), 石川 哲也1), 森岡 幹1), 長塚 正晃1), 岡井 崇1), 九島 巳樹2)
昭和大学医学部産婦人科学教室1), 昭和大学病院病理診断2)


 症例は37歳,0回経妊,未婚.月経周期は24日・整.既往例,家族歴に特記すべきことなし.子宮がん検診目的に近医を受診し,子宮内膜の肥厚と不整を認めたため当院へ紹介された.初診時の内膜細胞診Class V,全身麻酔下に施行した全面掻爬ではAtypical endometrial hyperplasia(AEH),complexであった.MRI所見では子宮前壁筋層が不整でJunctional zoneが一部欠損しており筋層浸潤が疑われたが,子宮腺筋症の所見もあり確定診断には至らなかった.患者に強い妊孕性温存希望があったため,厳重な経過観察のもと高容量黄体ホルモン療法(酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)600 mg/day)を開始した.1か月後に施行した外来掻爬では悪性細胞は検出されなかったが,MRI上の浸潤を疑う所見は残存していた.ホルモン療法を3か月施行し,再度全面掻爬術を施行した結果AEHを認め,MRI所見も変わらず,ホルモン療法の効果は不十分と判定した.患者の同意を得て子宮全摘を含む子宮体癌根治手術の方針とした.術後病理診断はAtypical polypoid adenomyoma(APAM)with focal atypical endometrial hyperplasiaで,筋層浸潤は組織学的には陰性であった.本症例は治療開始前の子宮内膜全面掻爬でAPAMと診断することは困難であり,MRI所見上は内膜と筋層との境界が不鮮明で子宮体癌の筋層浸潤と類似していた.高容量MPA療法が無効であったため子宮全摘出術を行い,その結果上記と診断し得た.本例の経験を踏え,妊孕性温存希望があるAPAM症例の術前評価と管理について,文献的考察を踏まえて報告する.

Key words:Atypical polypoid adenomyoma, Reproductive function, Endometrial adenocarcinoma

関東連合産科婦人科学会誌, 49(4) 633-638, 2012


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