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【原著】
Chronic Abruption-Oligohydramnios Sequence(CAOS)の2例
谷野 静絵, 清澤 恵未, 角田 玲子, 田中 恭子, 高津 亜希子, 菊地 範彦, 大平 哲史, 金井 誠*, 塩沢 丹里
信州大学医学部産科婦人科, *同 保健学科
Chronic abruption-oligohydramnios sequence(CAOS)とは,@分娩の7日以上前から持続する原因不明の性器出血がある,A当初は羊水量正常である,B破水の証拠なく羊水過少となる,を診断基準とする病態である.一般に周産期予後は不良で初回出血の週数が早い程予後は悪い.今回我々は,いずれも妊娠初期から性器出血が持続していたが妊娠延長期間が異なり,それに伴って出生後の児の呼吸障害にも差がみられたCAOSの2例を経験した.症例1は32歳の初産婦で,妊娠8週より性器出血が出現し22週に羊水過少となったが,明らかな破水の所見は認められなかった.妊娠30週に子宮収縮が増加し,胎児心拍モニターで高度遷延一過性徐脈が出現したため緊急帝王切開を施行した.児は出生後一時的に呼吸管理を必要としたが,日齢8に抜管となり,以後呼吸状態は良好であった.症例2は29歳の初産婦で,妊娠9週より性器出血が出現,19週に絨毛膜下血腫を認め入院し,23週より羊水過少となった.妊娠24週に胎児心拍モニターで高度遷延一過性徐脈を認め緊急帝王切開を施行した.児は在宅酸素療法を必要とした.CAOS症例ではchronic abruptionに伴う血性羊水が胎児の肺障害と関連するという報告があるが,今回の経験から初回出血の週数が早くても在胎期間の延長が児の予後改善に寄与する可能性が示唆された.
Key words:CAOS, chronic abruption, oligohydramnios, fetal distress, neonatal respiratory disorder
関東連合産科婦人科学会誌, 50(1)
25-30, 2013
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