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【原著】
初産婦における母体年齢と妊娠予後の検討―高年初産の定義は見直すべきか―
永井 康一1), 青木 茂1), 持丸 綾1), 望月 昭彦1), 倉澤 健太郎1), 奥田 美加1), 高橋 恒男1), 斉藤 真梨2), 平原 史樹3)
横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター1), 横浜市立大学学術院医学群臨床統計学・疫学2), 横浜市立大学附属病院産婦人科3)
高年初産はかつて30歳以上の初産婦と定義されていたが,1991年に日本産科婦人科学会により現在の基準である35歳以上へ引き上げられた.近年,特に40歳以上の初産婦が急速に増加しており,当センターの初産婦の約3割が高年初産に該当するほどになった.今回,初産婦の妊娠分娩予後を検討し35歳以上という高年初産の定義が医学的に妥当であるかを検証した.2000年から2011年までに当センターで分娩となった初産婦5,814例を14〜19歳,20〜29歳,30〜34歳,35〜39歳,40歳以上の5群に分け,妊娠高血圧症候群の発症率,帝王切開率,早産率,死産率,新生児死亡率,新生児入院率,経腟分娩での分娩時出血量と分娩所要時間について,20〜29歳群(コントロール群)と他群とを比較検討した.帝王切開率は30歳以上の群で,妊娠高血圧症候群の発症率と分娩時出血量は35歳以上の群で,分娩所要時間は40歳以上の群で有意に増加した.早産率と新生児死亡率は有意差を認めず,死産率と新生児入院率は35〜39歳群で有意に増加したが,40歳以上の群においては有意差を認めなかった.高年初産の定義が見直されて約20年が経過し,社会情勢は大きく変化していると考えられるが,35歳以上を高年初産の基準とする現在の定義は妥当である.
Key words:primiparity, high risk pregnancy, maternal age, pregnancy induced hypertension, cesarean section
関東連合産科婦人科学会誌, 50(1)
37-42, 2013
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