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【原著】
抗菌縫合糸バイクリル*プラス®の使用により手術部位感染SSIは減少するか:帝王切開術における前方視的検討
藤田 裕, 岩本 豪紀, 梅澤 聡
武蔵野赤十字病院産婦人科
抗菌薬入り縫合糸バイクリル*プラス®による手術部位感染SSI(Surgical Site Infection)予防効果について,産婦人科領域からの報告は今までに存在しない.そこで当院における選択的帝王切開の予定手術において,術者,手術操作,抗生剤の使用方法を統一した上で,子宮切開創と腹直筋筋鞘を縫合する糸によりバイクリルプラス群35例とポリゾーブ群41例の2群に分け,術後5日目のCRP値を一次評価項目,1か月健診までのSSI発生頻度,入院期間,術後1日目の白血球数とCRP値,術後5日目の白血球数を二次評価項目として前方視的に比較検討を行った.患者背景や術者,手術時間や出血量などに両群で有意差はなかった.SSI発生頻度と平均入院期間には有意差を認めず,術後1日目の採血も両群でほぼ同等であったが,術後5日目の採血では,バイクリルプラス群,ポリゾーブ群の順に,白血球数5,757±1,591 vs 6,380±1,636(p=0.06),CRP値1.70±0.78 vs 2.75±1.59(p=0.002)であった.バイクリル*プラス®を用いると術後5日目の採血での炎症所見は低値であり,選択的帝王切開の予定手術においてSSI発生予防効果の可能性が示唆された.
Key words:VICRYL* Plus, surgical site infection, CRP, cesarean section
関東連合産科婦人科学会誌, 50(1)
43-49, 2013
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