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【症例報告】
尿路奇形を合併した女性生殖器奇形を生後早期に診断した1例


塩野入 規, 近藤 壯, 横井 由里子, 小林 裕子, 塩沢 功, 加藤 重人
松本市立病院産婦人科, 同 小児科


 女性生殖器奇形はしばしば尿路奇形を伴うが,診断は必ずしも容易ではない.今回,我々は胎児超音波検査で右腎無形成を認め女性生殖器奇形の合併を疑い,出生後早期に診断した症例を経験した.症例は26歳,0経妊0経産.家族歴・既往歴に特記事項なし.自然妊娠し妊娠経過は順調であった.妊娠34週3日帰省分娩目的で当科を受診した際に,胎児超音波検査で胎児右腎を認めなかった.他に明らかな胎児異常を認めず,左腎・膀胱は正常であり,羊水量も正常範囲であったため通常の妊娠管理とした.妊娠40週0日前期破水のため入院し,同日自然陣痛発来し順調に頭位経腟分娩となった.2,698 gの女児で,Apgar Score;8/9,臍帯動脈血pH 7.348,明らかな外表奇形を認めず,生後14時間で初回排尿を認め,一般状態は良好であった.腹部超音波検査,CT検査,MRI検査を行い尿路奇形と女性生殖器奇形の検索を行った.右腎無形成・重複子宮・重複腟(右腟閉鎖)・膀胱右背側にGartner管囊胞を疑う囊胞を認めたことから,Herlyn-Werner症候群が疑われた.児の出生後経過は順調であり,日齢6に退院し現在小児科,婦人科で経過観察中である.尿路奇形,女性生殖器奇形のいずれかを認める場合には他方の奇形も念頭におく必要がある.生後1か月までは母体由来のホルモンの影響により子宮サイズが大きいため,画像検査による形態評価が可能であると考えられる.

Key words:Herlyn-Werner syndrome, MRI, prenatal diagnosis

関東連合産科婦人科学会誌, 50(1) 57-62, 2013


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