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【症例報告】
診断に苦慮した子宮頸部に発生した悪性リンパ腫の1例
笠原 華子, 鈴木 千賀子, 矢田 昌太郎, 平山 貴士, 中原 万里子, 今野 秀洋, 上山 和也, 窪 麻由美, 白井 洋平, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
今回,我々は術前診断に苦慮した子宮頸部に発生したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳,2経妊2経産.腹部膨満感を主訴に近医受診.巨大骨盤内腫瘍を認め,精査・治療目的に当院紹介受診となった.MRI検査上,腫瘍は直径20 cmに腫大しびまん性に造影効果のある子宮腫瘍で,外腸骨リンパ節,閉鎖リンパ節,総腸骨リンパ節の腫大を認めた.子宮内膜組織診を行うも確定診断には至らなかった.以上より子宮に発生した上皮性でない悪性腫瘍を疑った.しかし,骨盤内を占拠する腫瘍の大きさから手術不能と考え,インフォームドコンセントの後化学療法を選択した.化学療法はpaclitaxel+carboplatin療法を選択し1クール行ったところで腫瘍は著明に縮小したため,腹式単純子宮全摘術+両側付属器切除術を施行した.摘出物の病理組織診断は悪性リンパ腫(DLBCL)であったため,レジメンを変更し,RTHP-COP療法を6コース施行した.現在再発兆候なく血液内科で経過観察中である.悪性リンパ腫は女性生殖器にも発生する場合もあるため,びまん性に腫大する子宮腫瘍で悪性腫瘍が疑われる際には,悪性リンパ腫も念頭に置く必要があると思われた.
Key words:malignant lymphoma, diffuse large B-cell lymphoma
関東連合産科婦人科学会誌, 50(1)
69-75, 2013
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