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【症例報告】
卵巣原発悪性線維性組織球腫の1例


高橋 慎治, 田島 浩子, 川西 智子, 村上 裕介, 徳永 直樹
磐田市立総合病院産婦人科


 悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma:MFH)は中高年の四肢軟部組織に好発する予後不良な悪性腫瘍である.今回我々は,非常に稀な卵巣原発のMFHを経験したので報告する.症例は74歳3経妊3経産婦.腹部膨満感・下腹部痛を主訴に前医を受診したところ骨盤内腫瘍を認め当科へ紹介となった.MRI検査では骨盤内に13 cmに達する充実性腫瘤を認めた.CT検査では左下葉肺底部に12 mmの結節があり肺転移が疑われた.卵巣癌の疑いにて開腹手術を行うも,腫瘍は腸管と強固に癒着していたため生検のみに終わった.病理組織診断はMFHであった.CDDP+IFM+DXR療法を4コース施行したところ,PRとなり臨床症状も改善したため,再開腹術を施行した.腫瘍は左付属器を中心に存在し,前回開腹時に比べ明らかに腫瘍は縮小しており,癒着剝離可能となったため,腫瘍摘出とともに単純子宮全摘術+両側付属器摘出術を施行した.最終病理診断は卵巣原発のMFH・平滑筋肉腫であった.術後,骨盤内に再発腫瘤が出現し化学療法を施行するも奏効せず,再開腹術後から6か月にて死亡した.

Key words:malignant fibrous histiocytoma, chemotherapy, ovary

関東連合産科婦人科学会誌, 50(1) 83-89, 2013


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