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【症例報告】
Meigs症候群を呈したSertoli-Leydig cell tumorの1例


櫻井 学1)2), 高野 克己1), 岡崎 有香1), 玉井 はるな1), 志鎌 あゆみ1), 斉藤 仁昭3), 飯嶋 達夫3), 沖 明典1)4)
茨城県立中央病院婦人科1), 筑波大学医学医療系産婦人科2), 茨城県立中央病院病理診断科3), 筑波大学医学医療系茨城地域臨床研修センター4)


 今回我々は,Meigs症候群を呈したSertoli-Leydig cell tumor(SLCT)を経験したので報告する.患者は46歳未経妊婦人.他院で腹水貯留と骨盤内腫瘍を指摘され当院に紹介となった.既往として13年前に左卵巣囊胞性腫瘍に対して左卵巣腫瘍摘出術,その1年後に左卵巣囊胞性腫瘍の再発に対して左付属器摘出術(病理結果はともに粘液性境界悪性腫瘍)を施行され,その後無再発で経過していた.内診にて臍下正中に可動性不良の超新生児頭大の腫瘤を触れたほか,陰核の著明な肥大を認めた.画像上,骨盤内に12 cmの充実性腫瘍を認め,血中エストラジオール(E2):264.2 pg/ml,テストステロン(T):736.1 ng/dlと高値を示し,ホルモン産生腫瘍であることが示唆された.病理学的診断と腹水のコントロールを目的として腹式単純子宮全摘術,右付属器摘出術,大網切除術を施行.卵巣静脈からの採血ではE2:571.0 pg/ml, T:1,214.4 ng/dlであった.病理診断は右卵巣のSLCTであった.再発卵巣粘液性境界悪性腫瘍の治療後にみられた大量の腹水貯留であったため,再発の可能性も考えたが,本症例のようにSLCTがMeigs症候群を呈することもあり,身体所見の丁寧な観察とともに再発だけではなく以前と異なる組織型の卵巣腫瘍の発生も鑑別の念頭に置く必要がある.

Key words:Sertoli-Leydig cell tumor, Meigs’ syndrome, massive ascites

関東連合産科婦人科学会誌, 50(1) 113-118, 2013


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