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【症例報告】
婦人科手術術後に下腿コンパートメント症候群を発症した2症例


金子 明夏1), 山地 亜希1), 井尻 美輪1), 岡嶋 祐子1), 大川 玲子1), 白井 周史2), 永瀬 譲史2), 鈴木 文子3), 輪湖 雅彦3)
国立病院機構千葉医療センター産婦人科1), 同 整形外科2), 同 形成外科3)


 術中の不適切な体位により生じる下肢コンパートメント症候群をwell leg compartment syndrome(WLCS)という.その病態はいまだ明らかでないが,近年報告が相次いでいる疾患である.今回我々は婦人科手術術後に相次いで2症例発症したWLCSを経験したので報告する.[症例1]55歳2経妊1経産BMI;29.7 kg/m2.卵巣癌に対し卵巣悪性腫瘍根治術を行った.手術体位は砕石位,手術時間7時間10分,出血量940 gであった.術直後から両下腿痛の訴えがあり,翌日下腿コンパートメント症候群の診断で減張切開術が行われた.下肢運動機能は回復し術後82日目に独歩で退院したが,後遺症として神経因性疼痛が残存した.[症例2]42歳0経妊0経産BMI;21.1 kg/m2.子宮筋腫,両側卵巣子宮内膜症性囊胞に対し手術を行った.手術体位は砕石位,手術時間4時間33分,出血量1,076 gであった.術直後から両下腿痛の訴えがあり,翌日下腿コンパートメント症候群の診断で減張切開術が行われた.神経後遺症は残さず30日目に独歩で退院した.2症例には発症リスクと推定された共通因子がみられるとともに,重症度や予後に差異をもたらした原因として体格の違いなどが考えられる.長時間手術が予想される症例においては,これらを加味して手術体位や器具を考慮する必要があるだろう.

Key words:Well Leg Compartment Syndrome, lithotomy position

関東連合産科婦人科学会誌, 50(1) 143-148, 2013


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