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【特集】
産後出血にて当科へ搬送され救命し得た4症例に対する検討
松家 まどか, 丸山 俊輔, 井 浩志, 白岩 幹正, 高沢 義信
静岡県立総合病院産婦人科
当院は静岡県中部の集約治療を担う.2011年4月から2012年3月において産科危機的出血で搬送され,救命し得た4症例を経験した.(症例1)35歳,0経妊,妊娠41週5日に陣痛誘発にて経腟分娩した後,大量出血を認め当院へ搬送された.到着時の産婦の意識レベルは昏迷であり,輸血,抗DIC治療を開始後,挿管しICU管理とした.2回の心停止に対して心臓マッサージを行い,心拍再開後に子宮摘出術を行った.(症例2)35歳,0経妊,PIHのため妊娠36週6日で緊急帝王切開術を施行した.術後,出血が持続したため,当院へ搬送され,輸血,抗DIC治療を行い,子宮摘出術を行った.(症例3)36歳,0経妊,妊娠41週3日に陣痛誘発にて経腟分娩後,出血を認め当院へ搬送された.症例3は到着時のSI=1.7であり,輸血,抗DIC治療を行い,裂傷縫合を行った.(症例4)37歳,3経妊2経産,低置胎盤に対し経腟分娩後,出血を認め当院へ搬送された.症例4は速やかにICUに入室後,輸血,抗DIC治療を行った.以上の4症例を経験し,搬送する側の施設としては出血量の概量を把握した上での速やかな搬送を,受ける側ではICUや手術室など急変時に対応できる場所で,速やかに輸血や抗DIC治療を開始した上で,IVR(interventional radiology)や子宮摘出など的確な治療を実施することが予後の改善に繋がると考えられた.
Key words:postpartum hemorrhage, blood transfusion, DIC, intensive care
関東連合産科婦人科学会誌, 50(1)
213-219, 2013
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