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【特集】
子宮内反症例9例の臨床的特徴;急性再発に焦点をあてた3次施設14年間の検討
真田 道夫, 尾本 暁子, 田中 宏一, 岡山 潤, 山地 沙知, 中田 恵美里, 井上 万里子, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学周産期母性科
1999〜2012年に当院で経験した子宮内反症9症例について,出血管理を中心に後方視的に検討した.全て産褥搬送例であり,搬送時の診断名は子宮内反症が4例,内反整復後の弛緩性出血が4例,弛緩性出血が1例であった.いずれも当院に到着後の診察で子宮内反症と診断された.胎盤娩出時に臍帯牽引が行われた症例が8例,胎盤用手剝離が行われた症例が2例あった.全例で全麻下の用手整復に成功した.この際,3例でIABO, 1例で内腸骨動脈結紮,1例でUAEによる出血抑制が行われた.総出血量は,6,600 g±3,500 gで,全例にMAP(22±4.8単位)とFFP(21±4.2単位)輸血が実施されていた.全例にDICを認めたが,内反発症後すみやかに搬送された症例では,DICからの回復が早く総出血量が少ない傾向にあった.逆に,搬送が遅れ輸血開始までの時間が長かった2症例では,DICが遷延し予後が不良であった(出血性脳梗塞を来して神経症状を後遺した1例と母体死亡1例).当院到着直後のHb・shock index・産科DIC scoreは,搬送時に前医から伝達された推定総出血量とは全く相関を示さなかった.以上より,内反症整復後は内反の再発を念頭に管理にあたる必要がある,輸血の必要性の判断には前医より報告された推定総出血量よりshock indexなどを優先すべきであろうと考えられた.
Key words:traction of umbilical cord, DIC(disseminated intravascular coagulation), postpartum hemorrhage, IABO(intra-aortic balloon occlusion)
関東連合産科婦人科学会誌, 50(1)
221-226, 2013
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