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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))

【シンポジウム】
すべては術後回復能力強化のために ―Everything goes for enhanced recovery after surgery―


谷口 英喜1,2
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科1, 神奈川県立がんセンター麻酔科2


 近年,術後回復能力を強化し患者の予後を改善する周術期管理方法が,数々の研究によるevidence(科学的根拠)に基づき提案された.米国ではFast track program,北欧ではERAS protocolなどと呼称されている.これらは術後回復能力強化プログラム(以下,強化プログラム)と称され,名称は異なるが共通のエンドポイントとして患者の術後回復能力の強化を掲げ,具体的には術後合併症発生率の低減・安全性改善・在院日数短縮・コスト削減等の評価を行っている.当初は,心臓血管外科手術や結腸・直腸手術など合併症の発生率が高く在院日数が長い術式に活用されていた.しかし,強化プログラムの効果が認められ適応が拡大され婦人科関連の術式においても多くの成果が報告されている.術者は,開腹よりも腹腔鏡補助下というように可能な限り低侵襲の術式を選択する.そして,手術時間の短縮,出血量・輸液量の減少,手術創の短縮などの工夫が行われる.麻酔科医も十分な鎮痛補助を実施し,手術侵襲に伴う有害反射を防止する.特に,産婦人科関連の手術では女性が対象となるために,術後悪心・嘔吐予防を術中から実施する.術後も早期離床と経口摂取を促進するために術後の早期覚醒と十分な疼痛管理を行い悪心嘔吐の予防も実施する.これらの行為は全てが術後回復能力強化のために行われ,evidenceに基づいて実施される.新しい設備や技術を取り入れるのではなく,既存のスキルに工夫を加え,患者を中心としたチーム医療である.わが国でも,外科系および麻酔科系の諸学会で取り上げられ,独自の強化プログラムが考案されようとしている.一方,導入にあたっては,エンドポイントである在院日数の短縮がわが国に必要とされているか,もともと合併症が少ないわが国の周術期管理に改良が必要か,などの検討課題も多く残る.今後は,わが国独自のプログラムを考案して,大規模な臨床研究を実施することが必要になってくると考える.本講演では,強化プログラムの概説を行い,産婦人科の周術期領域においての活用の可能性を議論する題材を提供していきたい.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 300-300, 2013


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