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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【若手ポスターセッション1 特別賞候補演題(ミニシンポジウム)】
MTXで妊孕性温存治療をおこなった頸管妊娠と帝王切開瘢痕部妊娠の7例
新 夏樹, 安部 加奈子, 飯場 萌絵, 玉井 はるな, 八木 洋也, 小倉 剛, 小畠 真奈, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
【緒言】頸管妊娠または帝王切開瘢痕部妊娠に対して妊孕性温存のためにMTXを用いて治療した7例について報告する.【症例】頸管妊娠5例,帝王切開瘢痕部妊娠2例に対して,4例にMTX全身投与,3例にMTX局所投与で初回治療が行われた.治療開始週数は妊娠5~8週で,治療開始前の血中または尿中hCG値は2640〜45000 IU/l,GS径10〜29mmであり,胎芽心拍は5例に認めた.MTX全身投与は,17〜20mg/日の5日間筋注を1コースとして2〜4コース行われた.MTX局所投与は,50mgの1回投与または25mgの2回投与が行われた.転帰としては,子宮温存が全例で可能であった.頸管妊娠に対するMTX全身投与1例(胎芽心拍あり)で,2コース中に大量出血を認め輸血を要した.頸管妊娠に対するMTX局所投与3例のうち,胎芽心拍を認めなかった1例は局所投与のみで治療終了できたが,胎芽心拍を認めた2例でhCG値の低下不良のため追加治療としてMTX全身投与1コースが必要であった.さらにそのうち1例は治療開始後7ヶ月に子宮動静脈奇形からの出血があり子宮動脈塞栓術が必要であった.hCG値の陰性化に要した期間は,2ヶ月が5例,5ヶ月が1例で,現在外来管理中が1例である.治療後に妊娠分娩し,生児が得られたことを確認できた症例は3例であった.【結論】MTXで治療した頸管妊娠と帝王切開瘢痕部妊娠の7例すべてで子宮温存が可能であった.こうした症例に対するMTX治療については,特に胎芽心拍のある場合の効果や安全性についての議論があるが,今回の5例はすべて子宮温存が可能で比較的安全に治療を完遂できた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
306-306, 2013
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