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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【若手ポスターセッション1 特別賞候補演題(ミニシンポジウム)】
帝王切開瘢痕部妊娠に対し保存的治療を行った3例
永岡 晋一1, 谷垣 伸治2, 荒岡 千景2, 田中 啓2, 真山 麗子2, 松島 実穂2, 宮崎 典子2, 岩下 光利2
東京都立多摩総合医療センター産婦人科1, 杏林大学産婦人科2
【緒言】帝王切開瘢痕部妊娠(CSP)は子宮切開創部に妊娠した稀な疾患であり,子宮破裂や大量出血の為に子宮摘出を要することがある.近年帝王切開術が増え,CSPも増加傾向にある.今回,我々は子宮を温存しえたCSPの3例を経験したので報告する.【症例】症例1.38歳,2経妊1経産.自然妊娠.妊娠5週CSPにて紹介.初診時ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は76,814mIU/ml.メソトレキセート(MTX)50mgを3回筋注するも,hCG低下が乏しく,アクチノマイシンD2mgによる子宮動脈内注入化学療法と子宮動脈塞栓術(UAE)を行った.翌日子宮内容除去術(D&C)を施行.初診時からhCG陰性化まで51日を要した.症例2.36歳,1経妊1経産.IVF-ET施行し,妊娠5週CSPにて紹介.初診時hCGは19,796mIU/ml.MTX75mgを2回筋注したが,hCGは低下せず,経腟的にMTXを胎嚢周囲に局注したところ著明に低下した.同治療を2回追加後,D&Cを行った.hCGは69日目に陰性化した.症例3.39歳,5経妊4経産(帝王切開3回).自然妊娠.妊娠7週CSPにて紹介.初診時hCGは83,852mIU/ml.本例のみ胎児心拍を認めた.初回治療より経腟的にMTX50mg局注を行い,胎嚢内容を吸引,胎児に直接生理食塩水を注入した.局注を5回施行後,妊娠組織は器質化しD&Cは不要であった.125日目にhCGは陰性化した.【結語】CSPは従来大量出血に備えUAEを必要としていたが,施行後の妊孕性低下や施設の問題がある.今回我々は3例を経験し,より低侵襲で簡便な治療を行うことができた.しかしUAEが随時施行できる施設のみ可能な治療法かもしれず,その必要性が否定された訳ではない.また,hCG陰性化までの期間も長い.今後さらなる症例の蓄積と検討が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
306-306, 2013
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