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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【若手ポスターセッション1 特別賞候補演題(ミニシンポジウム)】
MTX全身投与および動脈塞栓術により妊孕性温存し得た頸管妊娠の1例
遠藤 真沙子, 南川 淳隆, 松本 玲央奈, 田中 慧, 香山 哲徳, 西村 真純, 瀧川 恵子, 松本 佳余子, 岡村 麻子, 大野 智子, 塩津 英美, 小笠原 加奈子
東京北社会保険病院産婦人科
頸管妊娠は,子宮外妊娠の0.002〜1%,異所性妊娠の1%以下とされており,極めて稀な疾患である.人工妊娠中絶や帝王切開術の既往,体外受精妊娠もリスク因子とされている.多量出血のため子宮摘出を余儀なくされることも稀ではない.近年はMTX(methotrexate)等による薬物療法や動脈塞栓術(TAE;artery embolization)を用いることにより子宮温存可能な症例の報告が増加してきているが,頻度が少ないため治療法は確立されていないのが現状である.今回,我々はMTX全身投与および動脈塞栓術により妊孕性温存し得た頸管妊娠の1例を経験したので報告する.症例は31歳,0経妊0経産.妊娠7週で近医より紹介受診.頸管部分にCRL5mmの胎児認め頸管妊娠と診断.血中hCG53588mIU/mLであった.MTXを単回投与するも血中hCG値の下降しなかった.MTX投与後7日目に両側内腸骨動脈にバルーンカテーテル挿入下に一過性に阻血して,子宮内容除去術を施行し術後は阻血解除した.帰室後,性器出血増量認めた為,頸管部にFoleyカテーテルとヨードホルムガーゼを挿入し局所圧迫を試みた.残存絨毛組織を壊死させる為,術後2日目(MTX初回投与後9日目)にMTXを再度投与し,止血とhCGの下降認めた.血中hCG値は初回MTX投与後48日目(術後41日目)陰性化し,子宮頸管部の血液腫は約4週間を経てほぼ消失した.頸管妊娠では確立された治療法はないが,妊娠週数が進んだ例やhCG高値の症例ではTAE(trans arterial embolization)やMTXを併用することが子宮温存の為に有用と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
308-308, 2013
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