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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【若手ポスターセッション2】
妊娠5週で深部静脈血栓症・肺塞栓症を発症した1例
落合 阿沙子, 小田 理沙子, 高水 藍, 関根 花栄, 加藤 紀子, 白井 洋平, 上山 和也, 窪 麻由美, 鈴木 千賀子, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
妊娠は血栓症の危険因子であることが知られている.今回,妊娠5週に深部静脈血栓症(以下DVT),肺血栓塞栓症(以下PE)を発症し下大静脈フィルター・抗凝固療法を併用し妊娠継続,安全に分娩に至った症例を経験した.
【症例】34歳0経妊0経産.既往歴,家族歴に特記事項はない.左下腿浮腫,失神を主訴に来院した.下肢静脈エコーにてDVTを認め,胸痛・心電図所見からPEの疑いとなった.また来院時,妊娠反応検査は陽性であったが経腟超音波上GSは認められなかった.最終月経から妊娠5週と考えられたが,CT検査の必要性,妊娠に対する影響について説明し同意を得られたため,CTを施行した.左総腸骨静脈から左ヒラメ筋静脈まで連続性に血栓像,肺動脈内にも明らかな血栓像をみとめたため,一時的下大静脈フィルターを挿入し,未分画ヘパリン持続静脈内投与を開始した.症状は安定し妊娠経過も順調であり,留置後2週間でフィルターを抜去し,ヘパリンカルシウムの自己皮下注を行いながら外来管理とした.妊娠40週4日にヘパリン中止の上,オキシトシンで分娩誘発を行い経腟分娩に至った.児は3066gの男児でAp9/10,明らかな異常は認められなかった.分娩後に再度CTを施行したところ血栓は消失しており,妊娠以外の血栓症の危険因子は認められなかった.
【結論】妊娠初期には悪阻のために脱水状態となり血栓形成に至るとされているが,今回悪阻の症状も無く妊娠5週でDVT・PEを発症した1例を経験した.適切な検査,治療を他科と連携し行うことで良好な結果を得られた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
308-308, 2013
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