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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))

【若手ポスターセッション2】
妊娠中期に胆汁鬱滞を起こし保存的加療で分娩に至った先天性胆道閉鎖症の一例


高橋 ゆう子1, 兵藤 博信2, 永松 健1, 矢部 慎一郎1, 堀越 嗣博1, 山下 隆博1, 亀井 良政3, 藤井 知行1, 上妻 志郎1
東京大学産科1, 聖路加国際病院産婦人科2, 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科3


 先天性胆道閉鎖症の予後は,胆汁排泄の状況,肝の変化などによりさまざまである.葛西手術の普及から30年以上経過し,術後成人に達して妊娠した症例の報告が増えてきているが,妊娠中の合併症については,知見が集積されつつあるところである.今回の症例は,妊娠中期に胆汁鬱滞および炎症を起こし,経鼻ドレナージによって保存的に良好に経過した.症例は23歳未経妊.生下時に葛西手術を受け定期的にフォローされていた.胆汁排泄は良好で,肝の線維化や肝硬変などの変化はなく,側副血行の発達も見られなかった.たまに胆管炎を起こすものの,抗菌薬投与と数日の入院で軽快していた.自然妊娠で,妊娠10週に当科初診.妊娠経過は順調で肝胆道系酵素も異常なく推移した.妊娠22週,心窩部痛・嘔吐・発熱がみられた.経腹超音波で,胆管の代用となっている空腸が著明に拡張していた.胆管代わりの空腸がRoux-en-Y吻合部あたりで増大した子宮に圧迫され胆汁鬱滞を起こしたものと考えられた.胆管ドレナージが必要であったが,侵襲の少ない方法として内視鏡下にRoux-en-Y吻合部の先へENBDチューブを設置し経鼻的に誘導した.ENBDチューブによる外傷性の食道潰瘍を生じたが,体勢の変換で10日ほどで軽快し,以後は鬱滞することなく経過した.妊娠27週には退院,外来フォローとし,順調な経過で妊娠39週4日自然経腟分娩となった.産褥期も,胆汁鬱滞や胆管炎は見られなかった.児は男児で,2864g,Apgar9(1')10(5'),明らかな異常をみられなかった.先天性胆道閉鎖症合併妊娠は,胆管炎,胆汁鬱滞,側副血行の増大・破裂など,注意点は多岐にわたる.今後,症例が蓄積され,より実用的な管理が期待される.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 311-311, 2013


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