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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【若手ポスターセッション3】
出生前診断がなされた3点均衡型相互転座
t(4;17;11)(q23;q25.1;q23.3)の1例
河村 彩, 西岡 暢子, 三輪 綾子, 吉田 恵美子, 小泉 朱里, 太田 武雄, 永井 富裕子, 須賀 新, 糸賀 知子
埼玉県越谷市立病院産婦人科
出生前診断の胎児染色体検査にはさまざまな方法があり,多くは羊水細胞によって行われている.今回,均衡型相互転座t(4;17;11)(q23;q25.1;q23.3)由来の染色体異常により多発奇形の原因となった症例を経験したため報告する.【症例】3経妊2経産臨床上正常な第1子,第2子,1回の流産歴がある妊娠15週の女性(33歳)と夫(32歳)の夫婦.妊娠10週にcystic hygromaを指摘され妊娠13週6日で当院紹介受診.初診時,約3mm大2つのcystic hygroma認め十分なカウンセリングの上妊娠16週0日に羊水染色体検査施行.結果は46,XX,t(4;17;11)(q23;q25.1;q23.3),3点均衡型相互転座であった.両親自体の染色体検査や切断点のSNPマイクロアレイ法などの更なる精査を両親は希望せず.妊娠19週頃より内反足,大腿骨弯曲,大槽拡大などの胎児所見認めるも妊娠継続の方針となる.小児科とのカンファレンスにより計画分娩方針とし,妊娠38週0日2960g Apgar1/2 女児自然分娩.分娩経過では胎児心拍異常など認めなかったが出生後,呼吸弱く挿管後小児科入院となった.口蓋裂,下肢両側指形成不全,耳形低位,大腿骨近位端骨端異常,大腿骨屈折などの多発奇形を認めた.【結論】均衡型転座は一般集団の400人に1人の頻度でみられる.均衡型転座では染色体部分の過不足はないため保因者の表現型は正常であることが多い.今回は均衡型相互転座を持ち多発奇形を発症していることよりde novo均衡型相互転座の可能性が高い.de novo均衡相互転座場合は様々な発症機転が考えられ羊水検査のみでは予後の予測に苦慮することが多く,出生前に十分なカウンセリングが必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
312-312, 2013
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